《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
《ゆめside》
「あ〜あ、これから実習かぁ……」
私は大学のキャンパスを歩きながら、配られたプリントを確認した。
昨日は大学で講義を受けていたはずが、気がついたら霊とか相談所のソファで寝ていた。その時間に受けるはずだった講義も当然欠席。出席数は少しでも稼いでおきたい。
「霊幻さんにバイトには行けないって連絡しないとなぁ……」
バッグからスマホを取り出したそのとき、頭上から声が降ってきた。
「なんだよ、今日は霊幻のところに行かないのか?」
その声は……
「エクボ!?」
見上げると、緑色の上級悪霊がフワフワと浮いている。なんでこんなところにいるの?
私は彼を睨みつけた。
「エクボ! 昨日はよくもやってくれたわね! 霊幻さんから全部聞いたんだから! 勝手に人の身体に憑依しないでくれる?」
「堅いこというなよ。ちょいと借りただけだろ? 減るもんじゃないし」
「減るよ! 講義の途中から記憶がないんだからね!? しかもその次の講義は欠席になっちゃったじゃない! 単位を落としたらどうしてくれるの!?」
「どうせ居眠りして授業なんか聞いてなかっただろ。霊幻と会えないのが寂しくて夜ふかしして配信動画でも観てたか?」
なっ!?
なんで知ってるの!?
「っ……」
「ほら、図星だろ」
得意げに腕を組むエクボ。
くうっ、憎たらしい〜!
「そ……それより、なんでうちの大学にエクボがいるわけ?」
「なんでいるかって? そりゃあ、おまえ、霊幻との恋を応援してやろうと思って」
何それ。絶対におもしろがってるでしょ。
「別に応援してくれなくていいよ……」
「遠慮すんな。おまえ、霊幻ともう付き合ってんだろ?」
「えっ……」
憑依されているあいだ、霊幻さんとエクボが何を喋ったかは知らない。霊幻さんも教えてはくれなかった。でも、どうやら私たちの関係はバレてしまったようだ。