《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
わかっている? 昨日のことか? たしかに予定を変えた俺が悪いが、事情を話したら納得してくれたはずだ。
「わ、悪い、ゆめ……」
「やっぱりわかってるんですね?」
ゆめが泣きそうな顔で俺を見つめた。
「っ!?!?」
わからない。わからないが、地雷を踏んでいても不思議ではない。
「そ……そんなに不満だったのか?」
「…………」
「昨日はたしかにいきなりキャンセルしたもんな。悪かったよ。急ぎの依頼だったから……」
「…………」
ゆめは答えない。
くそっ、なんなんだよ。昨日の話で合ってるんだよな? 違うのか? わかんねぇ。察してちゃんかっ!
「で……でも、バレンタインの日は七回も愛し合っただろ? 俺もまさかあんなにできるとは思わなかったぜ。案外俺もまだまだイケるな。その……あれだ。あんだけ愛し合ったんだし、多少そのあと会えなくても我慢できるだろ?」
「はい?」
ゆめが眉間にしわを寄せる。
ミスった! 余計に怒らせたか!?
「え、え〜っと、その……違うんだ、ゆめ。おまえのこと、す、好きだぞ?」
「…………」
「ど、どうした? あ、今から俺の部屋に来るか? もう閉めるつもりだったし、今日ならたっぷり愛し合えるぞ? な?」
本当になんなんだよ。これだから女心は難しいんだ。口に自信はある俺でもゆめの前ではカタナシだ。
そのとき、突然ゆめがニヤリと不気味に笑った。
『へぇ……。おまえら、そういう関係かよ……。おもしれえ……』
彼女の口調がガラリと変わる。
「お? ゆめ? どうした?」
瞬間、ゆめの身体がぐらっと揺れた。
「おいっ!?」
倒れそうになったゆめに慌てて駆け寄る。間一髪で受け止めた。ゆめの頭からふわりと緑の物体が出てくる。
「聞いちまったぜ、霊幻。おまえも隅に置けねぇな。もうゆめに手を出していたか」
「エクボ!?」
宙に浮いているのは、上級悪霊のエクボ。ニヤニヤと俺を見下ろしている。