第6章 もう1人
晃side
遅い・・・
帰ったら家で飲もうと約束したのに。
颯太さんの家で酒とツマミを用意して待つ。
ツマミは俺が作った。
気に入ってくれるかな・・・
「まだかな・・・」
ガチャガチャ
あ、帰ってきた!
玄関に向かって走る。
抱き着きたい。
キスしたい。
ガチャと音がして扉が開く。
「颯太さ・・・っ!?」
「え?・・・」
「ど、どうして・・・伊藤が・・・?」
「いや、それはこっちのセリフですよ!どうして海堂先生がいるんですか!?ここって颯太先生の家ですよね?!」
「2人で飲む約束してたんだ・・・けど、寝てる?」
伊藤は颯太さんを抱えている。
何かあったのだろうか。
「・・・仲・・・良いんですね・・・」
「ま、まぁ・・・高校の先輩だからな・・・」
「ふーん・・・じゃあ、僕はこれで。」
「おぉ、気をつけてな。」
伊藤は颯太さんを俺に預け帰っていった。
「颯太さん。起きてください。」
「ん、うー・・・頭痛い・・・」
「何かあったんですか?」
「は?・・・あれ?・・・俺寝てた?ここ俺の家?」
「そうですよ。覚えてないんですか?」
「うーん・・・てか、なんで晃がいんの?」
「え?お酒飲む約束したじゃないですか!?」
「はぁ?した覚えねぇよ。・・・勝手に上がり込んでるし・・・」
何言ってるんだ?
合鍵くれたじゃないか。
颯太さん・・・何かおかしい。
俺は少し苛立ちを覚え、その感情のまま颯太さんに抱き着きキスをした。
「!?////」
颯太さんは驚き腰を抜かして床に倒れ込んだ。
俺はそんなのお構い無しで服の中に手をかけていく。
「やっ・・・やめ・・・あっ////」
「颯太さん・・・俺、ずっと待ってたんですよ?」
「はぁ!?何言って・・・うぁっ・・・いや////」
力が入らない腕で必死に抵抗する。
いつもなら既に身を委ねるのに。
「やめろって・・・言ってるだろ!////」
パチーン!
・・・は?
頬を叩かれた。
「いくら元カレでも・・・こんな事おかしいだろ・・・////」
「元カレ!?何言ってるんですか!?今も・・・」
「出てけ・・・」
颯太さんは涙を流していた。
「・・・颯太さん・・・どうしちゃったんですか・・・おかしいのはあなたの方ですよ・・・」
俺は諦めて颯太さんの家を出た。