第6章 もう1人
颯太side
「出欠取るぞー。」
皆夏休み明けだからか、だるそうだ。
ただ、伊藤だけは違う。
何かいいことでもあったのか?
「今日から文化祭に向けて準備が始まる。まずは何するかだが、お前らに任せていいか?」
すると伊藤が手を挙げた。
「先生、僕が文化祭の委員長になってもいいですか?」
「そうだな。他に意見がなければ助かる。」
他のみんなは何も言わない。
「じゃあ伊藤頼む。」
「はい。じゃあ、まずはどういう事がしたいかだけど・・・」
今まで興味無さそうだったが、女子が積極的になる。
「女装カフェとかしたい!」
「それ、俺らだけじゃん!女子何すんだよ!」
「厨房とかメイクとか!」
文化祭あるある。
女子と男子で意見分かれがち。
教師はこれを見てるだけでいいから楽。
「絶対やだ。それだったら定番のお化け屋敷だろ。」
「ド定番すぎて嫌。」
すっげぇ揉めてる。
伊藤1人で大丈夫か?
「そうだなー・・・これはどうかな?教室ではお化け屋敷。ステージで女装男装してダンス。とか?」
「まぁそれだったら・・・両方の案が入ってるな。」
「えーでも男装?」
「俺達は女装するんだからいいだろ?」
話がまとまってきた。
伊藤すごいな。
「それじゃあ大まかな事はこれくらいで。あと1人くらい手伝って欲しいんだけど・・・飯塚君。どうかな?」
「・・・は?」
伊藤が宏を指名した。
「君、部活とかないだろ?他のみんなは部活動生だからさ。」
なるほど。
逃げられない理由考えたな。
「飯塚、手伝ってやれよ。」
宏に声をかける。
せっかくだから体験するべきだ。
「はぁ、わかったよ。」