第5章 夏デート
颯太side
うわ、やっぱ人多いな。
宏と離れそうだ。
「颯太、危ない。」
そう言って肩を引き寄せてくれる。
宏の胸元に顔が蹲る。
「あ、ありがと////」
「人多いから気をつけねぇとな。」
宏は一瞬手を掴もうとしたが、一瞬考えて俺の袖を摘んだ。
「こうしてれば・・・逸れないで済む。」
俺の気持ちを考えてくれたのか?
「そうだな////」
「おっ、りんご飴。」
「好きなのか?」
「うん。颯太もいる?」
「いいよ、自分で払うから。」
「ここは彼氏が払うのが普通でしょ。財布出さないで。」
無理やり財布を戻され、結局宏が払ってくれることに。
りんご飴か。
懐かしいな。
確か晃と祭り来た時も食べた。
「どうしたの?」
「いや、懐かしくなってな。」
「何が?」
「・・・晃と昔祭り来た時も食べたから。それ以来りんご飴なんか食べてないな。」
「そう・・・ほら、花火上がるよ。」
「おっ!まじ?」
その場にいる全員がカウントダウンを始め、ゼロの掛け声と同時に花火が上がる。
凄く綺麗だ。
「ねぇ、颯太。」
「なに?」
宏の方を振り向くとキスをされた。
「・・・なっ!?////」
こんな人多い所で何やって!?
「大丈夫。皆上しか見てないよ。」
「いや、それでもな・・・はぁ・・・」
もういいか。
だって今楽しいもん。
「颯太。」
「なに?」
今度は花火を見ながら答える。
「・・・本当はさ、あいつのことが好きなんだろ?」
「は?!ちがっ・・・」
「・・・俺といるのにあいつとの事を思い出すんだろ。それってさ、あいつのこと好きだからじゃないの?」
「うっ・・・ごめん。嫌だったよな。」
「別にいい。颯太に振り向いてもらうよう頑張るから。あいつには負けたくないけど、颯太は正直な気持ちを俺たちに伝えて。そしたら俺達も納得するし、応援するから。」
「・・・わかった。」