第1章 イケメン教師と学年1の王子様
颯太side
「ここはその式に代入して・・・っておい。聞いてんのか?」
「うん、聞いてる。」
だったら俺の顔じゃなくて手元を見て考えろよ。
数学教師になって3年目、クラスを持つことになった。
俺は今、ある生徒に分からない所があるから教えてくれと言われ教えている。
この生徒は飯塚 宏(ひろ)。
学年一のモテ男で王子と呼ばれてる。
確かに顔はかなりカッコイイし、身長だって俺より高い。
たぶん、180cm近くあるだろう。
「こっちは真面目に教えてんだ。ちゃんと聞け。」
「だから聞いてる。颯太の声。」
「『先生』を付けろと何度言えば分かるんだよ。」
しかも俺の声って・・・
「そうじゃなくて、話を聞いてくれ。」
宏はルックスは良いが、冷酷さがあり一匹狼って感じだ。
女子はそこがいいのだとか。
「もう分かるからいい。」
「そうか。ならもう帰れ。あまり暗くなると危ないからな。」
「・・・そんなことよりさ。」
ただ・・・
「俺と付き合ってよ。」
入学してきてからずっと告白されている。
「だから何度も言ってるが、お前とは付き合えねぇ。」
「なんで?恋人いるの?」
「生憎だが、ここ7年恋人無しだよ。」
「それじゃあ、アイツのことまた好きになった?」
「違ぇよ。ほら、いいからさっさと帰れ。」
「・・・颯太こそ気をつけて帰れよ。可愛いんだから。」
「は!?////」
嬉しくねぇ!!
そう言いながら鞄を持って指導室から出ていった。
昔の方がまだ可愛げあったな、アイツ。