第2章 仮彼氏
颯太side
「宏・・・?」
後ろからそっと肩に手を乗せる。
「・・・はは・・・ほんと・・・ひでぇ話だよな。」
「・・・。」
何も言えない。
かなり参ってるな・・・
「何年も想い続けて。やっと出会えて。出会えたと思ったら告白断られて。約束破られて・・・」
「・・・宏・・・ごめ・・・」
「終いにはっ!」
肩に置いていた手を掴まれ、身動きが取れないように手洗い場側に抑えられる。
「いっ!?」
勢いよく押さえつけられ腰と腕に痛みが走る。
「恋人がいる・・・っていう嘘。」
「っ!?なんで・・・」
「なんで?・・・俺を騙せるって思った?俺、颯太の表情一つ一つ見逃さないようにしてるから。瞳孔の開き、声の震え、呼吸の速さ。全て見てるから。・・・あんな風に目の前でキスされて確信したよ。・・・あの人とは初めてのキスだった?どうだった?気持ちよかった?」
「え・・・いや・・・何・・・言って・・・(汗)」
逃げようにも動けない。
せめて俺も能力使えたら・・・
「・・・俺、諦めないから。どんな手を使ってでも颯太を手に入れる。ずっと好きだったんだ。こんな気持ちは初めてだったし。だからさ、颯太も俺だけを見てて。他のやつなんか見ないで。きっと颯太に好きになってもらうから。」
言ってることは怖いけど優しい表情を浮かべる。
この顔・・・他に見た事あるやついるのか?
普段はムスッとしてて可愛くないのに。
鼓動が速くなる。
怖いからじゃない。
宏がカッコイイから・・・声が好きだから・・・
少し、期待しちゃった自分がいるから・・・
「・・・心臓・・・バクバク言ってる・・・」
「へ?!////」
聴こえてる?!
「んっ・・・////」
唇に暖かく柔らかい物が当たる。
口の中にはヌルヌルとした舌が。
この感じ久しぶりだ。
気持ちいい。