第1章 イケメン教師と学年1の王子様
颯太side
「飯塚・・・何してる・・・」
「見て分からなかった?キスだけど?」
晃は我慢出来なくなったのか、宏の胸ぐらを掴みあげた。
「なんでそんなに怒ってんの?キスしただけなのにあんたに起こる資格なんてある?もう恋人でもないくせに。」
「お前・・・っ!」
晃が殴ろうと拳を上げる。
その瞬間、宏が不敵に笑うのが見えた。
「っ!晃!やめろ!」
俺は晃の腕を掴み抑える。
「颯太さん?何を・・・」
「馬鹿か!?体罰で訴えられるぞ!?」
宏は恐らく、それが狙いだろう。
それで晃に教師を辞めさせる。
晃は納得がいかないまま腕を下ろす。
「・・・宏も・・・もうやめろ。何か企んでるんだろ?」
「チッ・・・」
舌打ちをして顔を背ける。
「お前らは仲良く出来ねぇのかよ。教師と生徒だろ?」
「コイツと仲良く出来るか。」
「颯太さん、俺、コイツ嫌いです。生意気だし。」
「あー分かった。仲良くしなくていい!せめて喧嘩はしないでくれ!」
2人とも俺の方を向いて首を傾げる。
「元はと言えば颯太さんが悪いんです。」
「は?」
「そうだな。颯太が早く選ばないからこうなる。」
「はい?!」
「颯太さん、どっちが好きですか?」
「選べ。」
選べって言われても・・・
どっちが好きなんだ?俺は・・・
「お、俺は・・・」
どっちか・・・選ばないと・・・
でも・・・
「選べない・・・ごめん。」
「どうして?・・・」
「それは・・・」
「・・・他に付き合っている人がいるとか?」
「・・・うん。」
嘘をついてしまった。
でもこれで諦めてくれるはず。
「嘘だ。この前はいないって言った。」
ギクッ!
そうだった。
どうしよ・・・
「いないって言ったのが嘘かもしれないだろ。・・・わかりました。」
「晃・・・信じてくれるのか?」
「うーん。100パーセント信じたわけではないです。だから・・・今度教えてください。俺たち2人に紹介してください。そしたら納得します。」
「・・・え?」
「なに?ダメなの?」
「いえ・・・大丈夫っす・・・」
宏の圧が怖くて断わらざるを得なかった。
まずいことになった。
けど、この2人を納得させるためにはするしかない。
どうにかしないと・・・