第13章 葛藤
(この人が…烏野のエース…他の人と体格が全然違うや)
鵜飼「あとはセッターか…俺がやりたいけど外から見てなきゃだしなぁ…烏野から1人セッター貸してくれ」
鵜飼がそう言うと、菅原が町内会チームのセッターを引き受けた。烏野の正セッターである菅原がチームから外れる選択をしたことに対し、影山がその真意を確認する。
影山「…俺に譲るとかじゃないですよね?菅原さんが退いて俺が繰り上げみたいの…ゴメンですよ」
「影山…」
私は菅原の思っていることを以前に聞き知っているため、前のめりになってる影山を肩を掴んで抑える、二人のやりとりを部員たちが緊張して見守る中、菅原は思い詰めた顔で本心を語った。
菅原「…俺は、影山が入って来て正セッター争いしてやるって思う反面どっかでホッとしてた気がする。セッターはチームの攻撃の軸だ。一番頑丈でなくちゃいけない。でも、俺はトスを上げることにビビッてた。俺のトスでまたスパイカーが何度もブロックに捕まるのが怖くて…圧倒的な実力の影山の影に隠れて…安心してたんだ…!」
影山「……」
菅原「スパイクがブロックに捕まる瞬間考えると今も怖い…けど…っ」
菅原は俯いていた顔を上げた。そして、決意を込めた目で旭の顔をじっと見た。
菅原「俺にもう一回トス上げさせてくれ、旭」
旭「!」
菅原「…だから、俺はこっちに入るよ影山。負けないからな!」
影山「俺もっス!」
告白を終えた菅原は吹っ切れた顔で町内会チーム陣へと入ったが、旭は菅原の告白を聞いてもまだトラウマを引き摺り続けていた、私の目頭はジーンとなっていたがそんな風にそれぞれの想いが交錯する中、試合が始まった