第9章 初戦
及川「いくら攻撃力が高くても、その攻撃まで繋げなきゃ意味ないんだよ」
国見からボールを受け取った及川は、サーブ位置に立つと敵コートにいる月島をビシッと指差した。そして、高くボールを上げ華麗にジャンプ。
バシンッッッ!!!
影山よりも威力ある強烈なジャンプサーブが炸裂する!しかも、完全に月島目掛けて。
(月島狙いっ!? さっき指差したのは宣言…っ!?)
及川の意図に気付く私、月島はなんとかボールを腕に当てるが威力を上手く殺せずコート外に弾いてしまう。なんなく1点を挙げた及川は、月島と日向を見て爽やかな笑顔を浮かべた。
及川「…うん、やっぱり途中見てたけど1年生かな?君たちレシーブ苦手でしょ?」
月島「ッ!」
日向「ッ!」
ほんの僅かな時間ゲームを観察していただけで的確に相手の弱点を見抜く。しかも、サーブは影山以上の威力に加え、ほぼ宣言通りのコースに打つ抜群のコントロールを持っている。
この1球だけで青葉城西バレー部主将の恐ろしさを知った烏野に大きな緊張が走った。
及川「じゃあ、もう一本ね」
宣言通り及川の強烈なジャンプサーブが再び月島を狙う。そして、今回も月島はボールの威力を殺せずコート外へ弾いてしまった。
月島「クソ…ッ!!」
「ッ・・・・月島、ドンマイ!!!」
これで2失点目。得点は23-24。あと1点で同点だ。いつもクールな月島の表情にも悔しさが滲んでいた。すると、月島ばかり集中攻撃する及川に日向がキレた。
日向「オイ、コラ大王様ッ!俺も狙え!取ってやる!狙えよ!」
及川(大王様…???)
コート内でジタバタ暴れる日向。しかし、そんな日向を月島が止めた。
月島「みっともないから喚くなよ!」
日向「なんだと!」
日向はピンチのくせにスカした態度の月島にムッとしつつも、先程自分を救ってくれた名言(by田中)を月島に語った。
日向「バレーボールはなあ!ネットのこっち側にいる全員!もれなく味方なんだぞ!!」
月島「~~~ッ」
「そうだそうだ!翔陽もっと言ってやれ〜!」
名言に感動するかと思いきや、すごく嫌~な顔をする月島でも、その一言が暗くなっていたチームの空気を変えてくれた。