第40章 虚無
「……」
叩かれたおでこをスリスリと撫でれば父親と目を合わせないようにうつ伏せになりながら夜ご飯を待つ
渚「はい、完成〜」
今日は簡単に、とテーブルの真ん中にドンっとおいてあるデカいお皿に野菜炒めがこんもりと乗っていた、他にご飯とお味噌汁、お漬物がテーブルに並んだ
渚&健太郎「「いただきまーす」」
「…ます…」
消えるような声で顔の前で小さく手を合わせればゆっくりとご飯を食べていくも、リビングはそのどんよりとした私の空気で充満した
健太郎「なんだなんだ、元気ないな?なーんか通夜みたいだぞ?」
私の父親はご飯茶碗を片手に持ち空いた他の方で野菜炒めをよそえば口いっぱいに頬張るも、私の暗い雰囲気が気になったのか箸を止めてそう言う
「別に…」
そう返事した私はチビチビと野菜炒めとご飯を食べ続けていく
渚「どーせ下らないことでしょ」
ここ何週間か私と会話という会話をしていなかった母親は、ツンっとしたように父親の言葉に反応する
「…下らなくないし…」
渚「どーだか?どうせ今日の練習でスパイクがうまく決まらなかった〜とか」
その言葉にピクリと反応した私、食べるのをやめて下を俯く
渚「あとはレシーブが全然入らなかったとか、どーせちっぽけな事だよ」
嫌みたらしく言う母親に堪え兼ねた私は顔を上げる、眉間にどれだけシワが寄っているだろうか、後から考えたら物凄い顔をしていたと思う
「お母さんに…何がわかるのよ…」
何も知らないくせに
いつもいつも私の話聞かないで
何でもかんでも決めつけるじゃん
渚「分かるよ全部、あんた単純だもん、それに私の———」
お母さんが何かいいかけた時、私はギュッと握りしめていた手をテーブルにバチンッと叩きつければグラッとテーブルが揺れる
健太郎「、いい加減に!」
「もう、お母さんもお父さんも何よ!!!分かったような口して、私の何が分かるのよ……」
顔を上げずに少し涙ぐんだ目をギュッと潰れば声を張り上げる
渚「……最年少のエースでのプレッシャー、周りからの期待、そこからくる自信喪失…」