第40章 虚無
7月末、その日は朝からジメジメと湿度が高く
梅雨の様な嫌な雨が降り続いた
夜に時期外れの台風が来るということで
8月末に控えている世界大会の練習は
いつもより少しだけ早く終わった
この天気のせいか、エースという
プレッシャーから来るのか
今日の練習は思い通りに体が動かなかった
家までの道程がもの凄く長く感じた
気のせいか足取りも凄く重かった
「ただいまー」
家についた私は真っ直ぐ部屋に戻り制服から普段着へと着替えればリビングから母親の呼ぶ声が聞こえた
渚「ご飯できたよー!」
「はーい」
覇気のない声で返事すればトボトボとリビングに向かう
健太郎「なんだ、今日は練習終わるの早いな」
時計を見れば9時過ぎ、いつもより1時間ほど早く家に帰って来た私を父親は疑問に思ったのかソファに座りながらそう聞く
「当たり前でしょ〜?今日台風来るって言ってたじゃん…」
渚「あーそうだった!すっかり忘れてた…」
お母さんはキッチンで夜ご飯の支度をしていた、共働きの両親、こうやって私が帰って来る頃にだいたい夜ご飯が準備できてみんなで一緒に食べるのが日課だった
今日は…野菜炒めかな?
うーん、なんか微妙
お腹も空かないし
食欲わかないなぁ〜
ダラダラとリビングにあるダイニングテーブルの前に重い腰を下ろして椅子に座ればテーブルに膝をついて深いため息をする
健太郎「何若いのがため息ついてんだ、お前には30年早いっ!」
ソファから立ち上がりダイニングテーブルの椅子へ腰かければ、ふてぶてとしてる私のおでこをパチンと叩く