第39章 追憶
後ろを振り返れば私服姿の研磨がポツンと立っていた事に驚く私
「あれっ、研磨!どーしたの!?」
研磨「クロにいきなりゲーセン来いって言われたから……」
研磨に気付いた黒尾はニヤリとわらい研磨の肩に手をポンポン置く
黒尾「ゲーセンとときたら、お前が来ないわけねーよなぁ〜」
研磨「……まぁ、ちょうど新作のゲームクリアして何しようか迷ってたところだったし…久しぶりにゲーセンも良いかなぁって…」
肩に置かれた手からスルリと抜け出せばUFOキャッチャーの台をじっと見つめてポッケから出したお金を入れる
「あれ、研磨UFOキャッチャー上手だったっけ?」
徐に操作を動かし始めた研磨の後ろ姿を見るも、以前彼がUFOキャッチャーで遊んでいるのをあまり見たことなかった私は得意かどうかを聞く
研磨「別に…得意とかじゃないけど……こういうのはコツさえ覚えれば……」
そう言った研磨は操作を一瞬辞め、クレーンの中をジロジロと観察するように見れば何かを読み取ったのか再び操作を開始する
「ああっ!!!」
私がそう叫んだ瞬間、狙っていたむすび丸の人形はコトンッと出口の大きな穴へと落ちていく
研磨「はい、取れたよ…」
黒尾「クッ…研磨ァ…お前器用かよっ!!」
ドヤ顔するわけでも喜ぶ訳でもなく研磨は台から落ちてきたゆるキャラのむすび丸を掴めばそれを私にくれる
「すごいよ研磨!ありがとう!!でも、どうやってやったの?ここの獲得率、ほかのクレーンから比べて低そうだけど」
UFOキャッチャーの台に獲得した人たちの写真が貼られているのをみるも、ほかの台と比べて圧倒的に少なく、きっとほかのクレーンより難しそうだと思った私は研磨にそう聞く
研磨「んー…別に難しくはないと思うよ……取る前に、クレーンの動きとぬいぐるみの動きをイメージするんだ、クレーンがどうやって動いて、ぬいぐるみと接触するとどんな風にぬいぐるみが動くか……あとはぬいぐるみの重心や角度、周りのぬいぐるみとの距離とかを見て狙えば……簡単だよ」
黒尾「(こいつの観察眼は以前からすげぇとは思ってたけど、まさかそれをココで発揮するとはな…)」
ぬいぐるみの取り方を淡々と説明する研磨とそれを見て何か思う黒尾