第39章 追憶
黒尾「おっ、UFOキャッチャーやろうぜ」
ゲームセンター内に入った黒尾たちはキョロキョロと辺りを見渡せば近くにあったUFOキャッチャーエリアに向かい私は黙って黒尾の後ろをついて行く
黒尾「なんか欲しいもんあるか?」
ウロウロとUFOキャッチャーエリアを歩いて、私に何が欲しいかと聞いてくる
「ん〜特に……」
乗り気ではないのか、あまり興味を持たずにキョロキョロと辺りを見るも、ひとつだけ気になるものを発見する
「あっ!コレ!」
興味のなかった私が、一瞬目をキラキラさせ "2011年 ゆるキャラランキング1位 くまもん 他" と書かれたUFOキャッチャーの台を見つける
黒尾「ん?この、くまモンが欲しいのか?」
小走りでその台に向かった私を後ろからゆっくりと追いかければ黒尾はそう聞く
「ううん。違くて…隣にある "むすび丸"!」
そのUFOキャッチャーの台はご当地キャラクターが沢山置いてあるところだった、1番でかいくまモンとは対照に、むすび丸は中くらいで特に人気がないよにも見えた
黒尾「む、むすび丸って……なんか冴えねえ顔だな(笑) つーか見たことねぇキャラクターだな」
目をキラキラさせてる私を見つめる黒尾は口元を緩め笑う
「えっとね、むすび丸は宮城のご当地キャラだよ!お婆ちゃんの家に行った時良く見かけてたんだ〜……東京で見れるとは、なんか新鮮!」
先ほどとは違った柔らかい笑顔な私を見て黒尾は安心する、200円機械にお金を入れれば任せろ!と一言言って取ることに集中する
「あっ、すごい!掴んだ!」
黒尾「どーだ!!」
途中、人形をガッチリ掴んだツメが一瞬ガクンと揺れた衝動で開いてしまい人形は出口手前で落ちてしまう
黒尾&「「あああああああっ!!!!」」
あともう少しで取れるはずだった人形、私たちは店内に響くほどの大声で叫べば周りの人がびっくりして2人を見る
「あああもう惜しかった!!!!あと一歩!」
黒尾「くそ〜一発じゃ無理かぁ」
2人で台のガラスにへばりついて悔しそうに嘆けば、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる
「ちょっと…何してるの?2人とも…大声なんか出して…」