第39章 追憶
練習試合終了後、私は次期エースと言われていた松永のところへと向かっていた
「ち、千尋ちゃん!!」
松永「あ、……お疲れ」
試合に疲れてか、選抜に選ばれなかったことの悔しさか、松永は少し暗い表情をしていた
「あ、あのねっ…千尋ちゃん——」
ライバル視していた先輩、さらには次期エースとまでも言われてた先輩を抜いて自分がエースになったことに少しだけ心残りがあった
松永「負けないから!!」
話出そうとした時、松永はその言葉を遮って話し出す
「えっ…」
松永「今回は控え選手だったけど…次は絶対、負けないよ!」
そう言った松永の顔はどこか悔しげで、でも少し嬉しそうで、満面の笑みで笑いかけてくれた
「……はい、私も、負けない!!」
落ち込んで居るかと少し心配したが、大丈夫そうだった私はその場を後にして自宅へと向かう
「おっ、今帰りかー?」
駅から家へと歩いてる途中、聞き覚えとある声が後ろから聞こえてくる
「あ、クロ!と研磨!!うん、さっき練習試合終わったところだよ」
研磨「……、なんか嬉しそうな顔…してる」
「へっ?そ、そうかな〜?」
自然と溢れていた笑み、というよりニヤニヤしていた顔を研磨に見破られる
黒尾「なんだ、なんかいいことあったのか?…って、選抜メンバーどうだったんだ!?」
「んっふふふふ…」
黒尾にそう聞かれた私は、怪しげな笑みを浮かべては黒尾を焦らす
黒尾「うわっ…なんだその黒い笑みは…こえぇ〜」
研磨「……クロに似たんじゃない…腹黒いとこ」
ゲームに集中してた研磨は、顔を上げて私の顔を見ればいつも黒尾が悪どい笑い顔をしてる時の顔とそっくりだと言ってくる
「えっ、研磨ひどい!私そんな性格悪くない!」
研磨に言われたことにムッときたのか頬をプクーッと膨らませて拗ねる