第39章 追憶
6月半ば梅雨も明け夏に突入してきた東京、私はいつも通り学校帰りまっすぐユースの練習場へと向う
「1本〜!」
「1本切るよー!」
8月にある世界大会に向け、ユース女子のメンバー達は普段よりも多く練習に励む。東京某所にあるこの体育館では連日、隣国のユース達と練習試合をしていた
片山 唯「集合!」
「「「はいっ!」」」
片山「それじゃあ一旦休憩、監督が来る前にちゃちゃっと水分補給!」
「「アっす!」」
監督がいない間仕切っているのは高校3年生 WSのエース 片山唯 180センチのタッパをもつ憧れの先輩だ
「あっ、あの、片山さん!先日はその…相談乗ってもらってありがとうございました!」
片山「ああ、ちゃん、気にしないで?私でよければいつでも聞くから」
150センチ半ばの私は片山の身長、パワー、能力にいつも憧れを抱いていた。バレーももちろん、先輩として後輩の面倒見の良い片山は常にメンバーの悩みなども相談に乗っているらしい
古家 「うっす」
片山「集合!!」
10分後、少し遅れてきた監督の 古家 茂、バレーボール世界女子ユースの監督でありコーチだ
古家「えー、今日は先日も言っていた通り、男子ユースとの合同練習があります。相手は男子だ、スパイクはもちろん、サーブが強烈なのはもう分かってるよなー、レシーブを特に注意してやりなさい」
「「「はいっ!」」」
古家「あー、それと8月にある世界大会のメンバーは再来週に決めるからなー、もちろん、今までの積み重ねが大事だが、その日までの練習姿勢や結果ももちろんみるから、挽回のチャンスだ、気を抜かないように!」
監督の話を聞いた後、30分間各練習に入る、1人で黙々とトス練習をする人もいれば、2人一組になって練習する人もいた
「千尋ちゃん、千尋ちゃん!スパイクの練習しよっ!」
1個上の松永千尋 ポジションは私と同じWS、175センチとタッパはエースよりも小さいが、公式試合のメンバー入りは確定だと私は思っていた。年齢が1個しか違わない松永とはよく話すメンバーであり同じポジションを争うライバルでもあった