第39章 追憶
「ふわぁ〜…」
地下鉄に乗るため、歩いて10分の所にある駅へ3人は少しだけ早歩きで向かっていく
黒尾「なんだ、また今日も徹夜か?」
大きな欠伸をする私をニヤッと笑いながら見る黒尾
「んー…一応私も受験生ですから、それなりに勉強してるよ!」
研磨「は頭良いんだから、そんなに無理しなくても大丈夫なんじゃない?…それにユースの練習だって毎日大変でしょ……体壊すよ?…」
目の下にクマでも発見したのか、ゲームに夢中だった研磨は顔を上げて心配そうに聞く
黒尾「で、そのユースでの活躍はどーなのよ?」
黒尾と研磨のいうユースとは、バレーボール世界ユース女子。中学3年生に上がった私は4月から晴れて正式にユースのメンバーになったのだ
「まぁ、私以外みんな先輩だし、体格も大きい人が多いから負けてられないね……って、そんなこと言うクロは?研磨のバレー勧誘、成功した?」
私より2つ上の黒尾は高校2年生、昔からしているバレーも高校で続けていた、そんな黒尾は研磨が音駒高校に入るや否や、研磨をバレーに誘っていたらしく、私はコソッとその件について黒尾に聞く
研磨「聞こえてるし……まぁ、クロにも誘われたし一応入部したけど……」
「したけど……?」
研磨「……なんでもない、まぁぼちぼちやってるよ…」
何か言おうとした研磨は、その言葉を飲み込み発することなく心にしまうも、黒尾は何か思い当たる節があるらしくどこか浮かない表情を浮かべていた
「そっかぁ〜、みんな頑張ってるんだね!」
2人の頑張りをしみじみと思えば、ちょうど駅に着いたためいつも乗っている路線へと3人は向かい、いつもの電車に乗りこむ
「うっひゃ〜、混みすぎだねこりゃ…もう一本遅らせればよかったかな…」
東京の満員電車の朝、一応クーラーも付いているがあまりの人の多さのため車内はムンムンと熱気に包まれていた
黒尾「おい、お前こっちにいとけ」
「あっ、うん…ありがとうクロ」
おじさん達に挟まれている状態になった私は、身体が小さいためあまり身動きが出来ず、それをみた黒尾は私の手を取りドアと黒尾の間の隙間に移動させる