第38章 満月
「はぁ、よかった…木兎さんきっと怒ってるよなぁ〜…いててっ」
木兎が怒ってるんではないかと心配すれば怪我した足をスリスリと撫でる
赤葦「木兎さんはそんな事じゃ怒りませんよ、ほら、足貸して…」
白くてすべすべとした片足に優しく手を添えればカバンの中にあった小さなポーチから出した絆創膏を怪我したところに貼っていく
「ありがとう…ございます…(赤葦さんって…本当に面倒見がいいんだなぁ…手もすべすべでなんだか男の子の手じゃないみたい…心地がいいなぁ)」
赤葦「とりあえず今は簡易処置のみだがら、学校に戻ったら保健室の先生に頼んでくださいね、菌が入って悪化しては困りますから」
「ふふっ」
真面目な顔で淡々と喋る赤葦を見た私はクスリと笑う
赤葦「??」
「あっ、すいません笑っちゃって……なんか木兎さんと赤葦さんがほんと真逆すぎて…でも、ちょっと木兎さんが羨ましいなぁーって」
赤葦「羨ましい…ですか…」
「はい、木兎さんはとても羨ましいです。こんなに面倒見の良いお母さんみたいな人に慕われて、愛され…2人は仲間であり、時にはライバルであり、でも家族みたいな関係だなぁって…2人を見ててそう思います…」
(きっと孤独には無縁な2人なんだろうなぁと思った。羨ましいなぁ」
そう話している最中、時折寂しそうな顔をする私に気付いた赤葦
赤葦「側から見たらそう見える…のかもしれないですね…」
「側から…??」
赤葦「どっちかというと俺は木兎さんのあの性格に救われてると言っても過言ではないと思う…」
「そう…なんですか?」
赤葦「俺が部活以外のことで悩んでる時も、野生の感なのかすぐに気付いて、俺にとってのでかい悩みも木兎さんにとってはちっぽけで、自分がどれだけ狭い世界で生きているかって木兎さんと話してるうちに気付かされる」