第38章 満月
赤葦「試合中も緊張とかプレッシャーで普段の力を発揮できないなんてことは木兎さんには無くて、だからそういう部分でも俺たちはいつも救われてる、私生活でも…まぁすぐ調子に乗るんで木兎さんには言ってないですけどね」
「そう…なんだ…赤葦さんも悩み事とかってあるんですね」
普段クールに見える赤葦、悩み事は自分でぱぱっと解決しちゃいそうなイメージだったのかそう言う
赤葦「まぁ、俺も人間なんで悩みの一つや二つはありますよ……で、さっき寝てる時に寝言でお母さんと呟いていたのは…この寂しそうで今にも泣きそうな顔の原因ですか?」
涙の跡が残っている頬を見れば赤葦は私の頬に手を当て優しい顔で見つめてくる
「えっ…私そんなこと呟いてたの…気付かなかった…」
赤葦の顔を直視できず、下を向いてしまう
赤葦「……満月は、人を狂わす……」
ふと見上げた夜空、ポツン真っ暗な空に光る大きな満月は2人を照らしていた
「満月……そういえば、あの時も…満月だった…」
ボソッと呟いた赤葦の言葉に私も夜空もふと見上げれば、事故が起きたあの夜と同じ満月の夜なのを思い出した
赤葦「あの時?」
「私が………両親を殺してしまった日……」
震える声と手、赤葦はそれに気づきそっと自分の手を重ねてギュッとそれを握る