第37章 進歩
黒尾がつぶやいて、自主練はそこで終了するも、その中でも少し物足りなそうにしている日向に黒尾が声をかける
黒尾「ちびちゃん。続きはまた明日な?」
そうすると明日もやるという話に日向はぱぁっと顔を輝かせれば一同食堂に向かう
「よっしゃあ〜!今日もいっぱい食べるぞー!」
体育館を出て食堂に向かおうとしたところ、黒尾に手を引かれ立ち止まれば他の人たちは先に行ってしまう
「クロ??行かないの?」
立ち止まり振り返れば少し真剣な顔をした黒尾が私を見つめていた
黒尾「……お前、なんか隠してることねぇか?」
「えっ、急になに!?」
真剣な顔をした黒尾に少しビビる私、黒尾は私の手を引いて近くのベンチに座る
黒尾「いや…また咳出てきてるしよ、その…昔のこと思い出しちまってさァ」
東京に行った際、病院に向かったことは黒尾には伝えていなかった
「あ……咳ね!えーっと、なんでもないよ!ただの風邪だから…」
心配させないよう私は目をそらしながら嘘をついて
黒尾「はぁ…ほんと昔っから変わんねぇなお前は、嘘つく時目をそらす癖な」
そう言った黒尾は片手で私の頬を挟み自分の方へと向かせる
「んっ…うしょなんかちゅいてないもん」
頬を掴まれているため少し喋りづらく
黒尾「また今回も俺は蚊帳の外かァ?ほんっと、寂しいわ〜」
頬から手を離した黒尾は両手をベンチの背もたれに広げて空を見上げる
「ごめん…ね、クロ…心配かけたくない…」
昔のことを思い出せば足をベンチにあげて体育座りするように顔を膝に埋める
黒尾「あのなぁ〜…それが逆に心配だっつーの」
「………5月くらいからまた咳が出始めて、前にクロとお墓まいりであった時、病院帰りだったんだ…」
少し間があいたあと、私は口を開けば黒尾は空から目線を動かさず黙ってそれを聞く
「その時は特に問題はなかったの、定期検診に行って薬をちゃんともらって飲めばって、先生言ってた……でも…」
正直に話すも、そこから口が開かず黙り込んでしまう
黒尾「……でも?」