第30章 初夏
月島「ちょっと……」
走りだす大鷲を追いかけて腕を掴み自分の方へと向かす
「いやっ!!」
はぁ……
もういいや
君にもう一度
僕の気持ちを伝えるね
月島「ごめん…大鷲…雰囲気に流されて、とかじゃないから…」
涙を流す大鷲の涙をすくいあげれば少し照れ臭そうに話す
「じゃあ、何?雰囲気じゃなかったら、なんで?」
月島「僕は君が——————
が好きなんだ………」
真っ赤になった顔、恥ずかしくて目をそらして言う
ダッサイ僕
たかが恋愛でしょ?
昔はそう思ってた
別にこれといって彼女とか好きな人とかいたわけじゃなかった
なのに、こんな馬鹿みたいに笑う君を
いつの間か好きになってた
「えっ……蛍が…私を?好き?」
大鷲の大きくてクリクリした目、それをさらにパチパチと大きく見開いて真っ赤になった顔でそう聞いてきた
月島「何回も言わせないでよ……」
月島「君が………好きだ……」
次はちゃんと目を見て伝える
「えっと//……その……」
月島「別に、返事なんていらないから……君を見てれば分かるよ、影山のこと、好きなんでしょ?」
あいつの名前を出すと僕の"ココ"が痛くなる
胸が苦しくて
息が出来ない
海に沈んだように
「え!?!?なんで…飛尾は…別に……」
月島「でも、気になってるんでしょ?」
慌てて僕と目をそらしながら話す大鷲
あーあ
よりによって王様がライバル?
敵うわけないじゃん…
「そんなんじゃない……よ///飛尾は大切な…友達だよ…」
月島「ふぅ〜ん……まぁ別にどうでもいいけど…僕は僕なりに君にアピールするし」
そういった僕は掴んだ大鷲の手を離してヒラヒラと手を振れば自分の家の道へと歩き出す
月島「じゃ、僕はこっちなんで……また明日〜」
あーあ
クソダサい
でも
諦めるわけないじゃん
こう見えて、諦めグセは悪いよ?
好きなものに対してはね
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