第30章 初夏
「ふへへへ、中身見てみなよ?」
ニヤニヤと笑えば月島は疑うように私を見るもその封筒を開ける
月島「……ケーキ、半額券……って!!ここあの有名なケーキのお店じゃん」
「そう♪近所のおばさんからね、それ貰ったの!私あんまり甘いのとか食べないからさ、こないだのお礼と思って、月島にあげる!」
月島「こないだの…お礼?」
月島は??と頭に浮かべながら見てくる
「ほら、あの…宿泊研修のとき…助けてくれたでしょ?」
月島「ああ、あの時………」
宿泊研修、大鷲が崖から落ちて月島が助けに行ったことだった、その時を思い出して少し赤くなる月島の顔
「ん?どうしたの?あ、いらなかった?!」
月島「いや、いいよ!貰うし……」
赤くなった顔を見られないように顔を隠しながらカバンを開け貰った封筒を大事にしまう
月島「そ、それより……大鷲は大丈夫なの?」
「え?あの時の怪我?もう前の話だよ〜、全然ピンピンしてる!!」
月島「いやっ、あの時の話じゃなくて……」
「じゃあ、なんのこと?」
キョトンとしてる私の顔をチラッと見れば月島は話し続ける
月島「……インターハイ…僕達が負けた後、大鷲少し辛そうだったから……」
「えっ、ええ〜?みんなも辛そうだったじゃんあん時、私だけじゃないよ?」
月島「いや、だから!!……君だけなんか…違うことで悩んでたんじゃないの…??」
「あ……うん……でも、もう大丈夫だよ?もう、ちゃんと笑ってるよ?」
先日のお昼休みに月島に言われたことを思い出せば不安そうな顔をした月島の前に立ち止まりにっこりとした満面の笑顔で月島を見上げる
月島「なんか…あったの?」
「あ、うん…ちょっとね♪……でも、助けて貰ったんだ…だから、もう、辛い顔はしないって決めた…」
月島 (助けて……もらったんだ……もう……)
「月島?」
目をそらす月島を不思議に思い、目を逸らした方向に行けば顔を覗き込んで