第29章 進化
私はきっと一生前に進めないんだと思う
私は自分に負けてばっかだよ…ほんと弱いよね….
影山「お前……強そうに見えて、毎日明るく振る舞って、でもずっと一人で抱え込んでたんだな」
そう言った影山は私の手を引いて前からギュッと抱きしめた
「…………飛…雄、離してっ」
抱きしめられた影山の腕に私は手を置いて離れようとする
影山「離さねぇ!!!」
影山はさらにぎゅっと抱きしめてそう強く言葉を放てば私はビクッと体を揺らす
影山「負けは弱さの証明なのか?負けは試練であって、地に這いつくばった後、またたって歩けるのかという、お前がそこに這いつくばったままなら、それこそが弱さの証明だ……」
「その言葉……」
影山「武田先生が俺と日向に言った言葉だ……」
インターハイ、青城と負けた後、武田先生が日向と影山に放った言葉だった
影山「お前は弱くねぇ、お前は一度立ち上がって、そして烏野へ来た……自分の足で立ち上がったじゃねぇかよ……」
私は影山の言葉に耳を傾けながら抵抗せずまだ抱きしめられる
影山「お前が試合で負けて俺たちより悔しがらないからってなんだよ…そんなの人それぞれだろ………お前は一生懸命練習してきた、俺たちと頑張ってきた……それは事実だろ!」
影山は私を抱きしめる力を緩めず話を続ける
影山「お前は俺の目標でもあった…中学の時辛くても、お前の試合をテレビで見て、プレーを見て、救われた事だってあった…だから、今度は俺がお前救う番だ……お前がそこで立ち止まったら、俺はお前の手を引いて前に進んでやる……過ぎてしまったことを悔やんでも前には進めない、だったら、この時この一瞬を大事に前に進もうぜ?」
そう言った影山は体を少し離して私の顔を覗き込む
「……あははっ」
影山「ぁあ"?!」
「ごめんっ……だって、飛尾がこんなこと言うなんて思ってなかったから……あはははっ、飛尾らしくない!いつもボケェ!ばっかりなのに!」
真剣に話していた影山の姿を見てなぜか笑い出してしまった私、影山は常に日向と張り合ってるかボケェ連呼してるのバカっぽい影山なのにと私は泣きながら笑う