第22章 決闘
得点は18(音駒)-16(烏野)。日向のサーブを夜久がレシーブし、ボールが研磨の頭上に上がる。すると、音駒の選手たちが入り乱れる様に一斉にジャンプした。
鵜飼(誰来るっ!?セッターは後衛だから攻撃できる前衛は3人。やっぱここは一番攻撃有りそうな4番…)
しかし、前衛の3人は囮!研磨がトスを上げたのは後衛にいた福永だった。
(バックアタック!?)
完全に烏野のブロックはフラれた。しかし、福永のバックアタックを日向が顔面レシーブで奇跡的にしのぐ。
そのままボールは音駒コートへ返り、再び音駒選手が入り乱れ一斉ジャンプした。
澤村「また来るぞ!今度は誰が…っ」
バシッ!
構える間もなく黒尾のスパイクが決まった。Aクイックだ。
ちなみにAクイックとは、セッターのほぼ真上レフト側からトスを低く速く上げ、素早くスパイクを打つ攻撃のことである。
多彩で落ち着いた攻撃を見せる音駒に、鵜飼は思わず感歎した。
鵜飼「なんつーか、すげえ安定感のある速効だな。いつも日向の危なっかしいのばかり見てるからかもしんねえけど…」
黒尾のAクイック成功で得点は3点差に開き19-16となった。山本の打ったサーブを私がレシーブし、西谷がカバーに入る。
旭「オープン!」
その声に反応し、西谷が旭に向かってボールを上げた。重量感ある旭のスパイク。しかし、それを音駒のリベロが真正面で受け止めた。目を見張る西谷。
リベロが繋いだボールを研磨が引き継ぎ黒尾にトスを上げた。
月島と旭の高身長コンビが黒尾に合わせジャンプする。しかし、黒尾は動きを一瞬止めブロックとジャンプのタイミングを僅かにズラした。
「月島!旭さん!まだ早いっ……くそっ、やっぱり……一人時間差攻撃!!」
一人時間差とは、速効に跳ぶぞと見せかけてブロックとタイミングをズラして打つ技法のことだ。先程の完璧なAクイックのあとにぶっ込んでくるあたり流石だと感心するしかない。
武田「どうしましょう…黒尾君が前衛に上がってから、なんというか攻撃に熟練感みたいのがありますね」