第22章 決闘
影山と日向の速効はなかなか合わない。今までの影山が完璧に日向に合わせる変人速攻と違い、今やろうとしてるのは普通の速効だ。日向にも技術的な成長が必要で、ひたすら練習して何度も何度も身体に覚えこませるしかない。
でも、そうやって鍛えていって、変人速攻と普通の速効を使い分けられるようになったら、その時は、“鬼と金棒”ではなく、“鬼と鬼”。
そうこうしているうちに、私のスパイクで烏野が1点を返した。これで、17-14。点差が開かないのは日向の失敗をカバーしてくれている先輩たちのお蔭だった。
ローテーションが回り黒尾が前衛となった。すると、日向と向かい合った黒尾は面白そうにニヤッと笑みを浮かべ口を開いた。
黒尾「20cmの身長差で犬岡と互角以上に戦うなんてスゲェーなチビちゃん♪それと…のスパイク、相変わらず俺全く取れねぇや」
日向「チビって言う方がチビなんだぞ!オラァ!!」
「へっへーん♩みたか!私の力!」
黒尾の小馬鹿にしたような言い方にプリプリと怒る日向。逆に褒められた私は鼻高々に返す。日向の襟を影山が引っ張ってコート中央へ連れて行くと、声を潜め作戦を耳打ちした。
影山「次はいつもの速効やるぞ」
日向「え?フワッじゃなくギュンッてヤツ?」
影山「そうだ」
日向「えぇ~、フワッの方だんだん合わせられるようになってきたのにぃ~」
影山「だめだ。1番が前衛にいる間はダメだ」
日向「なんで?」
影山「直感だ。とにかく1番はお前とマッチアップ少ないからまだお前の動きには慣れてないハズ。7番みたいに慣れてくる前にひっぺがして決める!」
作戦通り、黒尾が前衛の間はいつも変人速攻を復活させる。影山の判断に鵜飼も賛同していた。
黒尾には変人速攻の方が有効だ。手練れのMBからすれば当然普通の速効の方が止めやすい。
日向と影山の超速効が決まると、黒尾は感心しながらも不敵な笑みを浮かべた。
黒尾「やっぱスゲーな。のスパイクもスゲーけど、あのチビちゃん達……人間離れってああいう奴等のこと言うんだろうな。それじゃあ、取り返すか!」