第22章 決闘
得点は22-20と両チーム20点台へ突入。流れは完全に烏野押せ押せムードだった。
ここで、音駒の猫又監督が1回目のタイムアウトを取った。集まった選手の表情を見て猫又は満足そうに訊いた。
猫又「焦ってねえな?」
部員「ハイっ!」
猫又「ならいい。しっかり繋ぎなさい」
ベテラン監督の落ち着いた指導。選手も安定感があるが、監督はもっと安定していた。監督同士も大人猫と雛カラスのようだ。
タイムアウト後も攻める烏野と守る音駒の接戦は続き、得点は23-22となった。あと1点で同点だ。
しかし、忘れたころにやてくる研磨のツーアタックで24-22となり音駒のマッチポイントとなった。
相手のマッチポイントでも、選手たちの集中は途切れていなかった。みんなギラギラと戦意を滾らせ誰一人勝利を諦めてはいない。
「同点もぎ獲ってやる!!」
影山がトスを上げ私が跳ぶ。
山本「通さねえぞっ!!」
山本がすかさずブロックに跳ぶ。しかし、影山がトスを上げたのは澤村だった。澤村のスパイクが決まり24-23と点差が詰まった。
次は私のサーブだ。ここで旭が前衛に上がって来た。ブロックの要であるMBを100%引き付け、尚且つMBを躱して得点できる可能性のある日向と、現在単体での攻撃力では烏野トップの旭。
その両方が前衛に居る今がおそらく今の烏野最強のローテーション。このローテーションが烏野が逆転する最大のチャンスだ!
ここで1点取ればデュース。バレーには制限時間がない。デュースになれば2点差がつくまでどこまでも試合は続く。
しかし、1点取られたら試合終了だ。この一本が正念場である。
影山がトスを上げ旭がスパイクを打つ。それを夜久が拾い、ボールは再び烏野コートへ!
鵜飼「東峰!ダイレクトだっ!」
澤村「行け!旭っ!!」
旭「うおおおおっ!!」
旭が返球をダイレクトで打つ。それを福永が拾いボールは再び烏野コートへ。烏野が一方的に殴っているような試合展開だが、猫又監督にも音駒選手にも焦りは見えない。