第22章 決闘
まさに、音駒のバレーは鵜飼の言葉通りだった。試合前、黒尾は円陣を組み唱える。『俺たちは血液だ。滞りなく流れろ。酸素を回せ。脳(研磨)が正常に働くために』と…。
試合も中盤になり、得点は18-18となっていた。日向の超速効の成功率が落ちた事から、とうとう音駒が烏野に追いついたのだ。
音駒には超人のようなエースはいない。けれど、地道に丁寧に1点ずつ重ねてゆくプレイスタイルだ。なかなかボールが落ちない。
日向が徹底マークされ攻撃力が下がると、防衛力に乏しい烏野はあっさり逆転を許してしまった。
日向「影山、次こそバシッと決めるからトスくれ!」
影山「今、相手のセットポイントだ。ミスったらこの試合落とすぞ」
日向「分かってる。決める!」
超速効の成功率が落ちても、日向はまだまだ戦意を喪失してはいなかった。けれど、日向をマークしている犬岡は徐々に手ごたえを感じていた。
最初クリア出来そうにないゲームでも、何回も繰り返すうちに慣れる。そう研磨は言った。やってみたらその通りだった。全く追いつけなかった日向の動きにギリギリ追いつけるようになり、指がボールに触れるようになった。
そして、音駒のセットポイントで烏野が仕掛けた超速効。犬岡は日向の動きに追いつき、遂にスパイクを止めた。
日向「!」
犬岡「やっと捕まえたっ!!」
これで第1セット終了。25-22で音駒が1セット先取した。