第4章 【Dtm】Charm
俺が言葉を失っていると、は心配そうに眉を下げた。
「どうしたの?」
「いや。それ、似合うな」
「ん?そりゃあ、着慣れてるからね?」
何かと思えば、と笑みを零す。洗って返すと意気込む姿から見るに随分落ち着いたようだ。
「あ、電車動いた」
がたんごとんとお決まりの音を立てて発車する。安全の確認が取れたとのことだ。
ともあれ何事も無くてよかった。
目的の駅に着く。電車が止まっていた影響かホームは普段より人が多くざわついていた。
の手を引いて人の波に乗り改札へ向かう。時々周囲から視線を感じた。体育祭以降、ずっとこんな感じだ。
俺は人の視線にはもう慣れたが、はそうでもないようで居心地悪そうに俯いたり困った顔をしたりする。
今もそうだ。ちらりと後ろを振り返れば繋いだ手に視線を落として周囲を見ないようにしている。
何がそんなに気になるのか俺にはわからない。所謂、女心ってやつなのかもしれねぇ、と心の内で零した。
駅を出て住宅地に入れば人通りは随分疎らになる。は安堵の息を吐いて俺の隣に並んだ。
「轟くんはモテモテだね」
「そうか?」
「うん。怖かったもん。女の子達の視線が」
は両腕をさすって乾いた笑みを浮かべる。俺にはの方が見られていたように感じたが。隣の横顔を観察するとやはり可愛いという感想に至る。
「のが人を惹きつける才能があると思うぞ。お前といると毒気を抜かれる、つうか……落ち着く感じがする」
そうかな、とやや納得いってないような返事をした。考え込むようにこてんと首を傾けてそれから何か話すのかと思ったが唇は結ばれたままだった。