第4章 後輩君編
「俺が引っ張るからさ、七瀬先輩は目ぇつむっててよ。」
「それなら怖くないだろ?」と少し震えた声で私の方を向き、ニコッと笑って見せる。
顔が引きつっているので、折角の男前も台無しだが。
「な、ナイスアイディア! 頼んだよ、少年!! って、うおっ!!」
不意にぐいっと手を引っ張られる。
うわうわうわ。
年下なのに、男の子ってこんなに力強いんだ、と心が跳ねた。
ーー出口にたどり着き、ベンチに座るまで私たちの心臓はフル活動だった。
波留君の大きな目は微かに赤くなっている。
ま、それは私も同じなのだが 。
むしろ、私なんか涙で視界がかすんでるよ。
「・・・もうあんなところには一生行かない」
「・・・俺も」