第2章 悪戯エメラルド【A×S×?】
松潤は静かに続ける。
「知らなかったの?俺、ずっと翔くんが好きだったんだよ…
驚いた?ばれない様に必死だったからね~
翔くんは聖域だって、そう思ってた。
好きだけど…触れたいけど…侵してはいけない、
聖なる存在…
なのに…雅紀…あんたはそれを、
いとも簡単に手に入れてた…
ずっと大切にしてきた翔くんを、あんな…あんなふうに…あんたは……」
分からない……松潤の言葉が、俺の中で反響していて。
かかり過ぎたエコーのように、
頭ん中に渦巻いて……
「だから、雅紀、あんたは逃げないで、見届ける義務がある…そうだよ…横で、あんたの大切にして来た女神が、
俺に穢されるのを、見てなきゃいけないんだ…」
「…潤……」
その時、翔くんがシャワーを済ませて帰ってきた。
白いバスローブが眩しくて…直視できない。
「…潤…ありがと…潤は?」
「俺はもう入ったから…行こっか?」
差し出された手を、翔ちゃんは黙って握った。
「雅紀…ごめんね…」
「翔ちゃん!!」
翔ちゃんの決意したような強い眼差しに、
言葉を無くす俺…
「翔くん、相葉くんは、
側で見守ってるってよ~
俺と翔くんがベッドで何をするのか…」
「……見守る?…側で?」
戸惑う様に瞳を揺らしていた翔ちゃん。
暫く何か考える様に一点を見つめていたけど、
「…そう…分かった…」
そう一言だけ言って背中を向けた。
それが合図のように、松潤は翔くんの腰に手を回し、引き寄せる様にして、二人でベッドルームに消えた。
………逃げるか!?
今なら…まだ、逃げ出せる…
松潤にはああ言われたけど、恋人が他のヤツに抱かれるところを、横で見てるなんて…
そんなこと……
そんなこと、出来る訳な…
……………
…………
俺の中に生まれた、小さな誘惑…
ダメだって…
そんなの普通じゃないって……
そう思う一方で、
松潤に抱き潰される翔ちゃんの肢体がみたい…
他のヤツに抱かれて、
翔ちゃんがどんなふうに鳴くのか…
俺の中に灯ってしまった、
小さなドス黒い欲情の炎は、燻りながら
俺の心を侵食していったんだ…