第2章 悪戯エメラルド【A×S×?】
【MASAKI】
どうして………?
何でこんなことになったんだろう?
あの、新曲のPV撮影の時。
悪戯みたいに、
火遊びみたいに、
翔ちゃんのことを抱いた。
『秘密』という名の甘い密が、
俺を狂わせた。
冷静に考えてみれば、危険が大きすぎた。
人が来ないなんていう保証はどこにもなかったのに…
だから、燃えたんだろうな…
人に見られるかもしれないっていうギリギリの緊迫感…
そんな日常では考えられない状況が、
俺たちを狂わせ、突っ走らせた。
結果、松潤に見られていた。
忘れる条件として、『翔ちゃんを抱きたい』と…
あり得ない交換条件を提示してきた。
そして、もっとあり得なかったのは、翔ちゃんがそれを飲んだこと。
しかもさ、悩んでないよね?
即決じゃない??
……そんなもんなの??
そんなことで…それで翔ちゃんはいいの?
分からない…
俺、分かんないよ///
抱き締めた俺の腕をゆっくり解いて、
翔ちゃんは立ち上がった。
「潤…シャワー…させて」
「もちろん!!場所、わかる?…その棚の向こうの…そう、そのドア…」
「ここね?わかった…ちょっと待っててね」
「翔ちゃん!!」
慌てて声を掛けた俺に、
「雅紀は帰っていいよ…また、連絡する…」
少しだけ笑ってそう言うと、翔ちゃんは俺を一度も見ないまま、そのドアの向こうに消えていった。
………俺は悪夢を見ているのか!?
呆然と、バカみたいに立ちつくす俺に、
「どうする?相葉くん」
松潤が言った。
「どうするってっ!?」
「帰る?それとも…」
「それとも!?」
他にどうしようって言うんだよ?
俺に何ができるって……
「翔くんを、見守る?」
薄く笑った松潤の、囁くような低い声に、
俺は返す言葉もなく、拳をぎゅっと強く握った。
「見守る…って…」
「横で見ててもいいよ?翔くんが…愛しの翔くんが俺に抱かれるところ。
そしたら、俺の気持ち、分かるよ…
俺が、あの日、二人の縺れる現場を、どんな気持ちで見ていたか…」
どんな気持ち、って…松潤と俺とは…
「相葉くんと俺とかは、立場が違う?そう思った??」
図星過ぎて何も言えない。