第2章 悪戯エメラルド【A×S×?】
「翔ちゃん…大丈夫?」
複雑な顔をしていたのか
雅紀が顔を覗き込んでくる。
「…うん…」
「そんな顔しないで…俺がついてるから♪」
一瞬キョロキョロと
誰もいないことを確認してから
フワリ…と抱きしめてくれた。
雅紀の…匂い……
落ちつく…(*´`)♡
わかってるよ…?
何かあっても雅紀がいれば大丈夫だって。
何か…って…
何もないはず、だけど…さ?
キャップの鍔ツバがなければ
キスしたいとこだけど
…そこはグッと我慢して。
「…ありがと……心強い(〃▽〃)♡」
俺も一度だけ
ギュッと雅紀のこと抱きしめて。
それから
どちらからともなく体を離して
静かな廊下をゆっくり歩き始める。
途中…
触れ合った小指を絡めて。
そこから雅紀の愛を
沢山もらって…
そして…1015号室の前に立った。
互いの目を見て
グビリ…と唾を飲み込んで。
俺は大きく深呼吸してから
意を決してチャイムのボタンを押す。
しばらくして
「…はい…」
扉の向こうで
くぐもった松潤の声。
「俺…だけど…」
覗き穴を見てるー?くらいの時間をおいて
カチャリ…とドアが開いて
照れくさそうな笑顔の松潤が出てきた。
あれ…
わりと…ご機嫌…?
「翔くんっ…来てくれたんだ♪
既読スルーだったから心配しちゃ…」
「俺もっ!来てくれたよぉ~♪」
廊下の壁に隠れていた雅紀が
ピョコッと顔を出した瞬間…
怖いくらいわかりやすく
松潤の表情が一変した。
「…なんで…相葉くんがいんの?」
「さっきまで仕事一緒だったからさ?
ついてきちゃった~♪…なんか問題ぃ?」
あくまでさりげなくおどけてみせる雅紀から
苦々しそうに視線を外して
松潤は悲しそうな瞳で俺のことを見た。
「翔くん…一人で来てほしかったのに…」
「う、うん…ごめん……あの……」
「俺が無理やりついてきたんだよ~…」
たじろぐ俺の代わりに
雅紀が柔らかな物腰で松潤の怒りを解す。
「翔ちゃんは悪くないよ?
俺が来たらそんなにダメだったのぉ~?
翔ちゃんには話せるのに
俺には話せないこと?…俺、悲し~…」
ふざける雅紀と俺を交互に見ていた松潤は
小さなため息をついて…
「…入って…」
部屋の奥へと歩いていった。