第10章 振りむいてよサファイア【O×S】
「あ、すみません。えっと…」
翔がヤツから離れて俺の隣に並んだ。
「松本先生、紹介します!こちらは、今お世話になっている研究室の大野先生です!」
「…どうも…お久しぶりです…大野センセ♪」
「ああ…ど、どうも…」
俺は無駄に濃い顔で嫌味なほどのイケメンと、
形ばかりの握手を交わした。
「あれ?もしかしてふたり、知り合いだったんですか~?」
「え?あ、いや…知り合いって程でも…」
「そう…2年くらい前に、ちょっとね」
……こいつだったのか。
翔のことかなり引き留めたっていう前の大学の准教授って。
「な~んだ。凄い偶然ですね~(^-^)こんな事ってあるんだ~。松本先生、もしよかったら、三人で一緒にお昼ご飯でもどうですか?」
「翔!!」
「えっ?ダメでしたか?お二人がお知り合いなら、と…」
ダメに決まってる…
そいつと俺と三人なんて…
「翔、って…呼んでるんだね」
松本が、ニヤリと俺を見た。
「翔は俺の恋人なんだ…今一緒に住んでる」
「智…」
「いいんだ…隠すこともないし…」
松本はニヤニヤしながら俺たちふたりを見比べる。
やらしい目で見るなよ!
「じゃあ、お邪魔虫は退散しますよ~♪
櫻井くん、ホントに…!
増田も待ってるから、たまにはうちにも顔出してよ~」
「はい!そうします。増田によろしく言ってください」
「あの事は内緒にしときますよ…さ・と・し♡」
去り際、
俺の耳元でそう囁いて、松本は行ってしまった。