第10章 振りむいてよサファイア【O×S】
「松本先生、何て…?」
「ん?いや、別に…研究頑張って、って…」
「そうですか…」
「俺の研究、松本先生、凄く評価してくれてたんです!」
「…そっか…」
そりゃ、研究もそうだろうけど、櫻井翔そのものに執着してたんじゃないのか~?
『あの事』……
松本が言ってた2年前、ちょっと…っていうのは。
翔と知り合うずっと前のこと。
恋人と別れたばかりの俺は、淋しくて…
一夜限りの温もりを求めてハッテン場に出掛けて行ったんだ。
そこで出会ったのがあいつ…松本潤…
あのイケメンに惹かれて、直ぐに意気投合したけど。
俺も潤もタチだから…
残念ながら、『そういうこと』は難しいのかと諦めかけた。
でもあいつ、『交代してヤろうよ』って…
『コウタイ…スル』
あいつの魅惑的な誘いに乗ってしまった俺は、生まれて初めて、『男に抱かれた』
つまりあいつは俺の初めての『おとこ』なんだ。
あいつは、ソッチも経験ありっだったみたいだから、俺なんか、その他大勢のうちの一人なんだろうけど…
俺にとっては……
「智…?」
「あ、ごめん…何だっけ?」
「だから、パスタのお店でいいかな~?って…」
「うん、いい、いい!!行こ」
あいつのことも、あいつとのことも、もう忘れよう!
申し訳ないけど、翔を潤に近付けないように、
細心の注意を払おう…
もしかしたら翔は、『過去のこと』と、笑ってくれるかもしれないけど…
相手があいつとなると、少し違うだろう。
俺は翔を、この先もずっと…
「行きましょ♪」
「うん♡」
俺は躊躇うことなく、翔の腰に手を回した。
翔は少しだけ驚いたけど、振り解くことはなかった。
俺たちはそのまま、
歩幅を合わせてパスタ屋へと歩き出した。
その道は、俺たちの未来へと繋がっている…
↑いやいや、
そこのイタリアンまでですけど…(-"-)
繋がってる、ったら、
繋がっている……
~おしまい~