第2章 悪戯エメラルド【A×S×?】
「…ふぅっっ…くぅーーっ…」
俺は両手を上げて盛大に伸びをして
首をコキコキ鳴らしてみせた。
パソコンを閉じると徐に立ち上がり
「俺もちょっとブラブラしてくるわ~」
さり気に言って
ニノと大野さんの間を通り抜ける。
「ん~…いってら~…」
返事をしたのは
やっぱりニノだけだった。
ドアをガラガラ開けると
ちょうど大野さんを呼びに来た
スタッフさんが立ってた。
「おーい、大野さーん…出番だよ~」
代わりに呼んでやると
突っ伏してた顔をガバッと上げる。
「…ふぇ?…俺っ?」
寝ぼけた顔に吹き出しながら
部屋を出る自然なタイミングになったと
内心ホッとして廊下を素早く見渡すと
遠くに相葉くんの背中が見えたけど
階段の方へスっと曲がって消えてしまった。
さり気なくスタッフさん達に挨拶しながら
その背中を急いで追いかける。
帰るなら下に行ったはずだけど
俺の読みが正しければ…上。
そっと数段上がると…ビンゴ(≧∇≦*)♪
楽しそうな夏疾風の鼻歌が聞こえてくる。
気づかれないように追っていくと
相葉くんは4階で少しキョロキョロしてから
視聴覚室と書かれた部屋に入っていった。
あそこに……翔くんも、いる?
急に。
胸がドキドキし始めた。
二人があそこで会ってるとして…
俺はそれを見たいのか?
二人が付き合ってることを知って…
俺は……どうしたい?
でもこんな…現場を目撃するなんてこと
もう二度とないかもしれなくて。
確かめるなら…今しか、ない。
俺はフラフラと足を動かして
視聴覚室のドアを開けた。
もうひとつある奥の分厚い扉を
目をつぶって息を止めて…そぉっと押して
10cmの隙間からそっと中をうかがう。