第10章 振りむいてよサファイア【O×S】
【櫻井】
あ~~~っもう(>ω<〃)!
だいぶ遅くなっちゃったじゃん!
変な電話がかかってくるからっ!
大慌てで玄関を飛び出すと
俺は駅方面じゃなくて大通りに向かって走り出した。
走り出したって言っても
大きなスーツケースを引っぱってるから
全速力じゃないというのが焦れったい(っω<`。)
あの人より先に待ち合わせ場所に着いて
どんな顔で…服装で…
どんなふうにやってくるのか…
待ちかまえて観察したかったのに。
そんな大切な日の朝っぱら
この春までいた大学院研究室の准教授が
相変わらずの無意味な電話をかけてきた。
めっちゃ急いでる時に…っ…
内容はいつもと同じ
『戻ってこないか?櫻井くん』というもの。
はぁぁ…何億万回も断ってるじゃんっ?
俺の心はもう絶対に動かないのにさ…
なんでか…って?
それはさ……
大通りで捕まえたタクシーの後部座席から
流れていく景色を見ながら…ニンマリ(* ̄∇ ̄)♪
今日これから待ち合わせ場所で
落ち合う予定になってる、あの人…
苔に語りかけ、苔を理解し、苔を愛し抜いている
男の中の男ならぬ研究者の中の研究者(*゚∀゚*)
大野智、さん…(〃ノωノ)♡
俺、この人に…
苔の研究に一生を捧げようとしている人に…
お、俺の一生をっ…
捧げようと思ってるからっ(//∇//)♡…
いやっ…一生を捧げるって言ってもね?
最初は純粋な畏敬の念から始まったのよっ?
↑今は違うんかーい(* ̄∇ ̄)ww
いつだったか
新幹線の座席にある自由に手に取れる雑誌で
たまたま見かけた『古代を語る苔たち』
彼が一般人に向けてわかりやすく書いた
苔の魅力を展開する文献…
これがもう…秀逸で(◎-◎;)。
苔の素晴らしさを存分に語っていて
素人でも大いに楽しめるし
マニアックな世界の中には
彼の苔愛がゆるゆると溢れまくっていて。
おぉぉぉ(*゚∀゚*)♡
研究者たる者、こうでなくちゃ♡
と鼻息を荒くしたことを
昨日のことのように覚えているww