第10章 振りむいてよサファイア【O×S】
首筋に薄っすら汗が滲んでいて、
ちょっと色っぽいな…
「行きましょうか?中入ってから、時間まで待ち合いで待ってればいいんで…」
汗ばんでる首や額が、どんだけ色香を放っているかなんて、
翔くんは微塵も知らないで、俺の肩から鞄を取り上げた
そう。
隠す必要ないから言っとくけど←誰に~?
俺はゲイだ
若い頃は女の子と付き合ってみようとしたけど、
やっぱり無理で…
親にも宣言してるから、とっくに孫は諦めてくれている
ありがたいような、申し訳ないような…
でもさ…
自分からはいけないんだ…どうしても…
俺を好きになってくれる人じゃないとダメなんだ
昔、学生の時に、勇気を出して告白して
木っ端みじんになった経験が、
俺を臆病にしてしまい、今じゃ、完全に待つ側に成り下がってる…
情けないけどな(´・ω・)
「大野さん、ここで待っててください!コーヒー買ってきますね」
「うん、ありがと…」
今回、『日本蘇苔学会』の勉強会があって、
俺はそこの講師として招かれたから、助手の翔くんを伴って、軽井沢へと向かっている…という訳
翔くんを指名したのは俺だ
研究室に入って間もない彼を指名したことは、古くからいる助手のみんなには面白くない事だったのかもしれないけど…
だってさ。
みんな俺より年上だったりするんだもん
それに、一番の理由は…
翔くん…実は凄いタイプなんだよね~
気付かれない様にしてるけど。
ホントは、ドストライクなんだよ(^-^)
あのベビーフェイスに似合わない、
実は細マッチョのところ…
↑しっかり歓迎会で確認済
「はい、大野さん、ブラックですよね♪」
スッとカップを差し出す翔くんは、
にっこりと爽やかな笑顔を俺にくれた
……かっ、可愛いぃぃ…(≧▽≦)…