第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
【MASAKI】
「はい!相葉くぅ~ん♪こっちに半分だけ顔向けて…
そう!いいね~♡最高!!イケメン!(^^)!
もう、食べちゃいたい~♡♡」
……はあ~…(^-^;
心の中で苦笑いする俺…
今日の雑誌のカメラマンさんは、
所謂、ソッチ系として有名な人。
俺にもたびたび、本気なのか冗談なのか分からない誘いをして来るんだけど
勿論、冗談と決めつけてかわしているけど、
強ちそうとも言えないとこがあって(^^;
「ホントに今夜、どう~?美味しいフランス料理のお店、見つけちゃったんだ~♪相葉くんと行きたいな~♡」
いやいや、三ツ矢さんなら、他にたくさん行く人いるでしょう~?
「相葉くんってさ、大事にしてくれそうなんだよね~♡
例えば、『ハジメテ』の時は、都心の高級ホテルとか予約してくれそうだし~?
そういうのを、大切に思ってくれそうな人っていうかな~?」
……んっ??…
今彼、いや、彼女?
あ、今はそんなことどうでもいい!
凄~く重要な事言ったよね!?
………あ!!
「ああああ!!!」
「えっ、えっ!?ど、どうしたの急に~?」
休憩中に差し入れを持って来てくれた三ツ矢さんと話していて、俺は、今まさに旬な、重要なことに気付いてしまった!
そうだよ!
今夜はまあ、普通に行けば、俺と智くんの『ハジメテ』の夜じゃないか?
なのに俺…
家でいいか、って……
簡単に考えてたんじゃないか?
大好きな人と初めて結ばれるのには、
やっぱり思い出に残る様な、夜景の観える素敵なホテルの部屋が……
こうしちゃいられない!!
急に急いで立ち上がった俺に、三ツ矢さんは、
「何、なに~??どうしたの?相葉ちゃん?」
訳が分らないという顔でそう言った。
「ありがとうございます!三ツ矢さん!!
俺ちょっと用事を思い出して…一反楽屋に戻りますね~直ぐ帰ってきますから」
首を傾げる三ツ矢さんを置いて、
俺は携帯を握りしめ、前室を後にした。