第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
【SATOSHI】
珍しい時間に相葉雅紀が来てる。
だいたいいつも深夜寄りの時間外に来て
個室で翔さんとキャッキャしていくヤツ。
翔さんだって忙しい一日を終えて
早く帰りたいはずなのに
ずっと付き合わされてて…
少しは考えろよな(。 ー`ωー)?
有名人てやつはどこに行っても
自分は歓迎されると思い込んでやがる。
そんで自分が来ることで
店を有名にしてやってるくらいに
思ってんだろーよ…
あ~…うざ。
あ~…めんど。
なんだか知らねーけど
今日はやけに俺に話しかけてきて。
なんなんだよ、初めて会うみてーに…
もう1年以上前から
ここで働いてますっつーの。
なんなら
深夜に変なことが起きないように
店の片隅でカットの練習しながら
アンタが帰るのを待ってたりしてんだよ。
まぁ…アンタの目には
自分のことをキャーキャーもてはやす人間しか
映らないんだろーからな…仕方ねーか。
それにしても…
こんなフツーの時間に来るなんて珍しい。
珍しいから
ガッツリと出くわしちまったじゃねーか…
翔さんと無駄に仲のいいアイツに
ちょいとイライラしながらタオルの整理をしていたら。
「あ、智…個室の相葉さんに
大きめのブランケット持って行ってあげて?
あの部屋…小さい膝掛けしかないから」
翔さんが後ろからポソッと囁くから
「ひゃい…」
唐突すぎて
頭の裏から変な声が出てしまった。
は、恥ずかしっ…(>_< )
去り際の翔さんの綺麗なウインクに
ペコリと頭を下げることでドキドキを逃がす。
ぁぁ…驚いた。
棚を開けてハーフのブランケットを取り出して
個室への通路を歩き出す。
アイツ…マジでワガママじゃん?
大きいブランケットよこせって?
何様だよ!
あぁ…芸能人様か…(。ー`ωー)
部屋の前に来てしまって
「はぁぁ…」と小さなため息をついて。
今回も顔を見ずに
最低限の会話ですませよう…
そう思って…静かにノックした。