• テキストサイズ

Jewelry♢ボックス【気象系BL】

第9章 つんでれアクアマリン【A×O】




俺がこの店に来るようになって3年。
翔ちゃんがいた前の店から、彼が独立するのを機に、俺もこっちに来るようになった。

彼の腕に惚れているのもあるけど、人間性っていうのかな?カッコいいのは見た目だけじゃなくてさ。
生き方も、持ってるポリシーも、リスペクト出来るんだよね~…変な意味じゃなくって大好きなんだ…翔ちゃんのこと。


いつも通り、心地いい彼の話術に引き込まれおしゃべりする…
それが俺のストレス発散にもなってる訳で…

カットが終った丁度その時、

「ディレクター、いいですか?」
「ああ、いいよ。今行く。
相葉ちゃん、ごめん、少し、外すけど…」
「いいよ、今日はもう仕事もないし」
「じゃ、ちっと待っててね。
……あ、智、中、掃いといて」

「はい…分かりました…」


個室を出たところで、翔ちゃんが誰かに指示を出している声がして、しばらくして代わりに入ってきた少年に、俺は釘付けになった。

「…失礼します…」

俺の顔をチラリとも見ることもせず、背中を丸める様にしてほうきでカッとした髪を集めていく彼…

こんな子、いたかな?

「おはよう~、ありがとね」
なぜだか、彼の声が聞きたくて、思い切って声をかけた。

「あ…いえ…」

でもその子は、俺をチラッとも見ずにほうきを操っている。

ちやほやされることに慣れっこになっている俺にとって、その反応はむしろ新鮮で。

「ねえ、君、名前は?」
「……」
「ここに来てどの位なの~?…ねえ、名前は?」
「…大野智です…」
「おおの、さとし…カットもするの?」
「……」
「ねえ、切れるの?」
「…いえ、まだ……お邪魔しました…」
「あ…」

『おおのさとし』は、俺の周りを綺麗にすると、遂に俺のことを一回も見ることも無く、さっさと部屋を出て行ってしまった。

何者??
俺のこと…知らない、とか?


へらへらお世辞を並べられるのが好きって訳でもないけど、あそこまで無視されると逆に気になっちゃうじゃん!

/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp