第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
「そうじゃねぇよ!むしろ逆(* ̄∇ ̄)♪」
あ…出た♪
俺の好きな『むしろ逆』♪
翔さんのこの言葉の向こうには
喜ばしくて希望に満ちた
なんとも言えない奥行…が見えることが多い。
「お前は周りに惑わされず、先走りも高望みもせず
自分のやりたいことを常に追ってる…って感じ?」
やっぱ…この人はすげぇ♪
めちゃめちゃ人気で
めちゃめちゃ忙しいはずなのに
店員ひとりひとりのことを
ちゃんと見ていてくれてるんだ。
「そう…ですかね…」
「そうだよ!みんな早朝や深夜に入る有名人の予約…
指名とりたくてハフハフしてんじゃん(^ー^;)?」
「ああ~…俺、そういうガチャガチャしたのダメっす」
「ほらね?…そゆとこよ。自分を売り込むために
ガツガツ必死になったりしない。そうだろ~(*^^)?」
「俺は…『こうなりたい』というお客さんのイメージに
少しでも近づけてあげられる腕が…技術が欲しい…
そう思ってるだけっす……なんか…変ですかね?」
恐る恐る翔さんのことを見ると
ストローで飲み物を吸い上げながら
嬉しそうに目を細めて首を横に振った。
「滅多にいない希少動物だとは思うけど…
ぜんっぜん変じゃねーから(≧▽≦)」
あぁぁ…ホントにもう…
かっけーなぁ…(〃▽〃)
そんな翔さんに見惚れてたら
「それに……俺……」
なんて思わずこぼれかかって。
『ん?』という翔さんの目を見て
慌てて首を横に振って
残りのワッフルを口に突っ込んだ。
だって…
『早くアナタに認めてもらいたいから…
そんでずっと…アナタのそばにいたいから…』
なんて…言えないもんな…っ…
「ごちそうさまでした!」
ワッフル入れに使われてるコーヒーフィルターを
大急ぎで丸めてゴミ箱にポイして
カフェラテの容器だけ手に持って
翔さんにペコリしてから
カット練習してる場所にそそくさと戻った。