第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
結局起きてこない大野さんは、
ほっといてあげなよ!(頼むから…)
と潤くんに提案し、
俺たちは3人で潤くんお手製の中華粥を食べた。
もやしとハムのスープに、
中華粥…結構しっかり味が付いてて美味しかった。
付け合わせに
ザーサイと、高菜、パクチーと小ねぎ、
煮玉子は抜群にうまかった。
「潤くんって、イタリアンだけじゃないんだね~」
「基本はそうですけど、何でも作れます…
どうでしたか~?あっさりし過ぎてるかも…」
「いや、マジで旨かったよ~、食べさせたい本人はまだ起きてこないけどね~」
「実際、死んでんじゃね~?」
俺と雅紀が笑い合ったその時、
「…ん…じゅ…ん…」
寝室から、しわがれた声が……
「は~い!!今行く!」
潤くんは、ダッシュで行ってしまった。
「なに?さっきの音…」
「さあ~?」
「あ、まだ、いだん、だ、おばえ、だぢ…」
トイレの方で騒いでいたと思ったら、
潤くんにおんぶされた大野さんが
リビングに登場した。
どうやら、目が覚めてトイレに行こうと思ったけど、腰が立たなかったらしい…
しかも、明らかに喘ぎ過ぎたせいで、
酷いガラガラ声…
潤くんにおしっこの世話までしてもらってた様子。
なんだ~、それ?(-_-;)
「智~♡おかゆ作ったんだ~、食べるでしょ?」
「…ん゛…ずん、が、食べ…ざぜ…」
「わかった、いいよ!もう話さなくて~」
「…ご、べん…」
もう呼び捨てしてるし…
大野さんを椅子に座らせて、
せっせと朝食の用意をする潤くんは見ない振りで、
俺と雅紀は、デザートの愛玉子オーギョーチーをかき込んだ。
恋人に昇格したと思ったら、
一気に若い奥さんもらって、
へとへとのおっさんじゃあるまいし…
こりゃ先が思いやられるよ〜(-_-;)
ふたりの『初めて』でも聞きだして冷やかすつもりだった俺たちは、毒気にあてられて、そんな気も無くなってしまい…
朝食が済んだら、さっさと、マンションを後にした。