第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
【ニノ】
………
……
「…なあ、このまま帰るか~?」
「え~?ああ…うん…そだね~…」
何で俺たちがこんな、気まずい雰囲気になってんだよ?
理由はひとつ。
ベッドルームに入ったっきり、ふたりがどれだけ待っても出てこない…
しかも、さっきからずーっと、智さんのエロい声が深夜の静寂の中に、漏れ出てきてる。
考えてみたら、あの人のこんな声、初めて聞いた。
ネコだって言うのは知ってたけど、ここには恋人連れてきたことなかったし…
ここ最近は、決まった人もいなかったみたいだったしね~
そんな彼が一目で恋に落ちたイケメンお手伝いさん。
いつになったらくっ付くのかと思ってたら、これが全くで。
プラトニックとか、いい年して笑っちゃうよ(^^;
んで。
俺と雅紀で一肌脱いで、
大野さんを引っ張りだしてやった。
あのままじゃ、いつまでたっても潤くんには手を出せない…
いや、手を出されない?
まあ、この際どっちでもいいけどさ。
側で見てて、どんだけじれったく思っていたか…
お互い好き合っているのに踏み込まない、
潤くんは気付いてないって言えばまあ、そうなんだろうけど。
大野さんに関しては、意気地がないにも程がある!
可愛い♡大好きな潤くんを目で追ってるだけって。
小学生かよ!!
って言いたかったよ、マジで。
それでも、いい年した大人なんだから、
そのうちには……
って思って静観していたけど。
それももう限界!
俺が翔さんと日本を離れる日が近付いて来ていた。
「あの人たち、何とかしてやるか?」
雅紀に相談すると、
「潤くんさ、俺たちのセックス見て、おっ勃ててるよな~?」
「ああ、気付いてた~??」
「当たり前!気付いてないのはスケッチに夢中な、あの人だけでしょ!」
雅紀のヤツ、俺に夢中の振りして、
ちゃっかり潤くんの股間チェックもしてたとは!
…俺も人のこと言えないか…