第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
俺がひとり悶々としているうちに…
いや、よく考えたら
悶々としているのは…雅紀も…か……?
「じゃあさ…善は急げって言うから♪
潤くんさえよかったら…今からお試し、してみる…?」
ニノの優しい微笑みに
一瞬ビクリ…とした潤くん
「お試し……」
しばらく逡巡するように俯いていたけれど。
やがて気持ちを固めたような
しっかりした視線を上げて
「お願い…します」
「うん、わかった……じゃ、まずシャワーいこ。
仕事の前に必ずしなくちゃいけない準備から教えるね」
呆然としちゃって
何も言い出すことができない俺の目の前で
ガタガタと二人が席を立つ。
潤くんの視線が俺に向いてるのが
ちゃんとわかっていたけど…
俺が目を合わせることができないまま
二人はリビングを出ていった。
シン…となった俺と雅紀の間。
「はぁぁぁぁ……」
いろーんな意味を込めたような
細長いため息を…雅紀がひっそりついた。
「大ちゃん……」
「…………」
「…大ちゃん…っ?」
「んぇっ?…な、なんだよ…?」
「なんだよ、って……いいのぉ?」
「いいのって………そりゃお前だろーが!」
「いやいや、大ちゃんでしょっ!」
「お前だろ!玉砕したばっかで…ったくニノのやつ!」
「俺は……だいじょぶ……」
無理やりの笑顔の中で
瞳が寂しそうに揺れるのが…切なくて。
「だいじょぶ……わかってたことだから。
ホントは言うつもりだってなかったのに…
なんか最後だと思ったら勢いついちゃって…ははっ」
「雅紀……」
変に気を持たせることのないよう
ああいう言い方をするのがニノの優しさだって…
コイツもわかってるんだと思う。
だから…尚さら切なくて。
「ホントに心配いらないって(*^^*)!
あの走り去る車を見た時から決まってたことなんだよ」
雅紀……
うぅぅ…男前じゃん(T-T)…っ…
潤くんいなかったら
惚れてるとこだぞ…(*゚∀゚*)!