第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
「おじさん…」
「んん~…?」
「わっかりやすい顔してんね♪」
1週間に1回は
何もしない休みの日を作れと何回言っても
『俺にとっては毎日が休みみたいなもんです♪』
とか爽やかに笑って言うこと聞かない潤くんに
『髪でも切りに行ってブラブラしてこい』
と追い出すように出かけさせた午後…
仕事を終えてシャワーしてきた二人が
リビングでぼんやりしていた俺の顔を覗き込んできた。
「なんだよ…わっかりやすい顔、って…」
出かける前に
潤くんが淹れていってくれたコーヒーを
おかわりしようと立ち上がる俺に
ニノが複雑そうな表情で笑う。
「そんな恋煩いの顔してる人に
今から話さなきゃならないこと…
言い出しにくいっての(^ー^;)」
…言い出しにくい?
なんだよ、今さら改まって…
それに…恋煩いって…(◎-◎;)!!
と思って
言い返そうとしたら
「おじさん、こっち…座って?」
いつものニノらしくない神妙な面持ちで
ダイニングテーブルの椅子に座るから
何も言えなくなってしまった。
「なにこれ、美味そっ!…食っていい?」
キッチンカウンターに置いてある
俺らの昼メシの残りを見つけた雅紀が
はしゃいだ声を出す。
「いいよ…なんとかクラブのサンドイッチだって」
「もしかして…クラブハウスサンドのこと(^-^;?」
「なんでもいーや(≧▽≦)いただきまーす♪」
ニノの隣りに座って
大皿のラップを剥がして
すぐにパクつき出す雅紀…
それを苦笑しながらも
優しい目で見つめるニノ…
なんだよ…
いつもの感じじゃん…
少しホッとして
俺は彼らの向かいの席についた。
雅紀があっという間に1つ目を食べ終え
2つ目を手にとって…
『いる?』という表情でニノに差し出す。
ゆっくり首を横に振るニノは
笑ってはいるけど
なんだか少し…苦しそうに見えた。
この空気だと…
雅紀もニノが話す内容を知ってんな…
サンドイッチを美味そうに頬張る雅紀と
穏やかそうに見えてどこか遠い目のニノ
ちょっとした…胸騒ぎがした。