第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
それから…
潤くんが気の済むまで家事をして
筆のノッてきた俺がキリのいいとこまで描いて
やっこらしょとショッピングモールに出てきたら
けっこうないい時間になってた。
軽く昼メシを食っちゃおうかということになって
SUBWAYに入って好きなものをオーダー。
「あ、オニオンは抜いてください」
なんだか少し恥ずかしくて
小さな声で言ったのに
「えぇっ…オニオン抜いちゃうんですかぁ」
潤くんの頬がぷくりと膨らむ。
あぁ…突っつきたい……
たまらなく可愛いんですけど(〃ノωノ)
「生の玉ねぎには血液をサラサラにする
大切な成分が入っているのにぃ~…」
「えぇぇ…そーなんだ…」
お子ちゃまみたいな好き嫌いを誤魔化そうと
急いでレジに突撃した。
「会計は一緒でお願いします」
そしたらオーダーを終えた潤くんが
大急ぎでやって来てピタリと横に張り付く。
ちょっ、近い近い近い…っ…
「ダメですよ!外で食べる時くらいは
自分の分は自分で払いますから!」
「いんだよ!住み込みのバイトというよりは
最早お抱えの栄養士だからさ~(*^^*)」
あ、なんか…
自分で言って嬉し恥ずかし……
潤くんも照れくささを堪えるような
擽ったそうな顔をしてて
二人してミョーに顔を赤らめながら
それぞれのトレーをもって席に着いた。
販売のおねーちゃん
不思議そうな顔してたなぁ…(^ー^;)
「…なんか…」
早々にサンドにかぶりつく俺に
項垂れ気味の潤くんがポツリ…と。
「ん~?…どした?」
「さっきから…いろいろ偉そうに…すみません…」
「…偉そう?…ほぇ?…そう、だったか?」
「大人しくお仕事しててください、とか
玉ねぎ抜いちゃうんですかぁ、とか…」
「あ~~~そんなことぉ(* ̄∇ ̄)…
俺なーんも気にしてなかったけど~?」
「でも…やっぱり雇い主様に対して…そんな…」
その…雇い主っていう言葉が
とてもとても悲しく響いて。
「潤くん…」
俺は食べかけのサンドを
包み紙ごと静かにテーブルに置いた。