第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
【潤】
なんだか、逃げるように智さんのマンションを飛び出してきてしまった。
「……智さん、気を悪くしたかなぁ〜」
あんなに引き留めてくれた彼を、
半ば振り切るように出てきた俺……
あまりにも衝撃的な光景に……
雅紀さんの肌を流れる汗…
ニノさんの甘く鼻に掛かった声…
全てが、これまで生きてきた俺の人生とは無縁のものばかりで、驚いてしまって……
…………違うな……
一番の衝撃は、そんな、
男同士の絡みを見せられたことじゃない。
それ見て、反応してしまった自分自身に…
目の前で繰り広げられる濃厚なセックス…
しかも、生で観るのなんて初めての経験で。
自分の時は、見ちゃいないからさ……
気持ち悪いとか、違和感だとか、
そんな気持ちにはいっさいならず…
それどころか、俺、
どんどん体が熱くなって、
で……勃った…
ニノさんの甘い声に、苦しそうな吐息に、
反応した。
慌てて風呂場で抜いたけど…
俺…俺って……
家に帰り着いて、キャリーケースを出してきて、着替えを詰め込んだ。
もう、いろいろ考えたくなくて、考えずに手当たり次第に詰め込んだ。
「えっと~、あと調味料も持ってこうかな~?
智さん家にないだろし…えっと~、エクストラバージンオイルと、バルサミコ酢に…ワインビネガーも持ってこう…後は…」
買い置きしておいた調味料に、塩も何種類か入れた。
ケースをいっぱいにした俺は、なんとなく落ち着いて来た。
そこにLINEのメッセが…
開いてみると智さんからで、
『潤くん、明日は和食が食べたいな~』
『作れる~?』
ID交換してこなかったけど
電話番号で友達になったんだな…(^^)
和食か~…もちろん作れるけど…
『何がいいですか?』
そう返信すると、直ぐに既読が付き、
『肉じゃが』
と返って来た。
肉じゃがって、和食か…
まあ、和食といえば和食だな~(^^;
『分かりました。材料買って帰りますね!
朝は、パンでもいいですか?』
『もっちろん♥️』
ふふっ…可愛い(*^^*)
ハート♥️着いてる♪