第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
ようやく満足いくデッサンが描けて
ノートを閉じて顔を上げると
雅紀の体の上で
幸せそうに微睡むニノがいて。
その肌をそっと撫でる雅紀の優しい目が
俺のことをジッと見てた。
雅紀のニノに対する気持ちは
少し前から気づいてる。
でもニノには翔くんという恋人がいるし
雅紀も奪い取るつもりはないらしいから
俺も何となくそのままにしていて……
お前は…どういう気持ちで
ニノのことを抱いているのか…
きっと……
切なさと悦びの間で
ゆらゆらと揺れながら
でもどうすることも
できないでいるんだろう……
だから俺も…そっとしておくよ…
「おつかれさん…(*^^*)」
それだけ言って部屋を出た。
あとはいつも通り
自分たちのペースでやるだろうから。
リビングに行くと
驚くべき光景が待っていた(*゚◇゚)。
「潤くん…どっか行くの?」
しっかりきっちり片付いた
リビングダイニングに
ソファーから立ち上がったと見られる潤くんが
リュックを肩に引っ掛けたまま立っていた。
シャワーをしたとみえて
黒髪がほんのりと湿っている。
「…え、っと……あの……」
ちょっと顔を赤らめながら
モジモジと言い出しにくそうにしてて。
まさか……
やっぱりギブアップ、とか…(・・;)?
「今日から住み込みOKですとか勢いで言いましたが…
よく考えたら…面接に受かるかどうかわからなくて
大したものは持ってきてないですし、今の部屋を
出なきゃならないなら片付けもしなきゃならないし
でも…こちらは短期の3ヶ月ということなので
部屋の解約はしない方がいいのかもしれない、とか…
それにしてもやっぱりある程度の着替えとか
身の回りの物とかは持ってきた方がいいと思うし
ちょっとあれこれ…考えなきゃ、と思って…
その…今日のところはとりあえず…一旦帰ろうかと…」
一生懸命考えたことを
一生懸命話す潤くんが
もう、ホント…とんでもなく可愛くて(〃▽〃)。
離したくない…
逃がしたくない…
この出逢いは……運命(*゚∀゚*)♡♡
瞬時にそう思って。