第8章 麗しのタンザナイト【M×O】
「…ここ…か~」
見上げたのは都心のタワーマンション。
こんな凄いマンションに住んでる人って、
どんな人なのかな~?
身の周りの世話って、老人…とか?
それなら俺、秘かに自信あり、だ。
両親が共働きだったから、小さい頃、祖父母の家に預けられることが多く、かなりのおばあちゃん子だったし。
エントランスに入っていくと、
管理人さん?…じゃないな?ガードマンか??
↑コンシェルジュといいます(*^^*)
俺のことをじろじろ見た。
「ど~も~(^^;」
愛想笑いでご機嫌を取りながら、
俺は教えられた部屋番号を押した。
「えっとぉ~、3104…っと」
『どうぞ~』
直ぐに返答があって自動ドアが開いた。
俺は『こんな奴が入れたんだ~?』という目で見るガードマンさんにペコペコしながら、
↑完全なる被害妄想だけど…
エレベーターに乗り込み、31階を押した。
思ってたよりも若い人っぽい声だったな~
まあ、若々しいおじいちゃんかも知れないし…
こんな高級マンションに住んでるくらいの老人なら、
ジムとか行って鍛えてても可笑しくないし。
住み込みって、こんなかっけぇ~マンションなんて、俺、ホントにこのバイト見つけてよかった~(*^^*)
『取りあえず面接するから来て』
というのを頭の隅に押しやって、
俺はもう、すっかりタワーマンションの31階の住人になった気でいた。
31階には4部屋しかなくって、
俺は奥の4号室の呼び鈴を押した。
ガチャ…
ドアが開いて顔を出したのは、
えっ…??この人…が…?
3104号室の住人は、俺とさほど変わらない年くらいの、小柄なお兄さんで…
驚きのあまり、
口をポカンと開けて突っ立っているだけの俺に、
「君、何歳?名前なんだっけ?」
と聞いて来た。