第7章 悶々ガーネット【N×S】
【ニノ】
自分って結構理性的だと思っていた。
いや、今も思っている。
例えば、心無い事を言われてたとしても、
カッとはするけど、それを顔にも出さないし、
何かリアクションすることもしない…
だから、『本心が解らない』なんて言われたこともあるくらいで…
まあ、実際そんなこという奴には、心の中で、
『お前なんかに見せるかよ』
と思っている訳で。
けど……
この人を前にすると、
そんな俺の自負なんて、
あっという間に崩れ去るんだ。
もうね。
何て言うか、可愛くってしょうがないんだよね。
タッパも俺よりあるし、
骨格だって俺より一回り大きくて。
誰が見ても俺が受けなんだろうけど…
それに、付き合い始めたことはもう嬉しくって、
舞い上がってて…
翔ちゃんと付き合えるんなら、
上でも下でも、どっちでもいいや!
って…そう思ってた。
だけど、櫻井翔という人を知れば知る程…
こんな素直で女子よりも可愛いこと見つけちゃうと、
やっぱりどうしても、欲しい…
そう思うんだよね。
こんなに我慢できなかったことが、
未だかつて、あっただろうか!?
……いや、ない…
潤の隣で幸せそうな大野さんを見て、
『何だか悲しい…』と泣いた翔ちゃん…
そんな翔ちゃんを、守ってあげるのは、
俺の役目なんじゃないか?
そう思えて仕方なくて…
もう、溢れ出る気持ちを
理性で押さえることが出来なくって、
エレベーターの中で翔ちゃんを壁に押し付けて
唇を重ねた。
彼の身体のあちこちから溢れ出す、
『受け特有の色香』に、
玄関を入ってそのまま押し倒すのだけは
何とか阻止しなきゃ!!
翔ちゃんの手を引いて廊下を歩きながら、
心の中で、何度も念仏を唱えていた。
『邪念を静まれ…』
と。